採用のためのオンラインによる情報発信。そのコンテンツの精度の重要性は年々高まっていますが、人事担当者が情報発信に関わる業務をすべて回すのは難しいところもあります。本記事では、その解決策として採用コンテンツを外注するメリットと注意点について、類似コンテンツの委託制作を行っている宿木屋の視点から解説します。
人事担当者のみで作るコンテンツの限界
経営資源の中でも、人材は事業成長に多大な影響をもたらす柱の一つです。その採用や教育を担う人事・HR領域は、企業の要とも言える仕事を担っています。
採用領域の多岐にわたる仕事の中でも、昨今はHRコンテンツマーケティングの重要性が高まっています。候補者がインターネットで企業情報をリサーチすることが当たり前になっただけでなく、コロナ禍では合同説明会などのイベントに対する意識も変わりつつあります。
自社独自の採用サイトやブログ、SNSプラットフォームなどを起点に情報発信することは、自社が求める人材にアピールするためには、必要不可欠な努力と言えるでしょう。特に、企業認知度が大企業と比較して低い中小企業やスタートアップ企業は、できるだけ予算をかけずに効率よく自社の認知度を高めるコンテンツ制作をしたいと願っているはずです。
こうした時流から、使いやすいプラットフォームを介して自社発信を始める企業が増えています。テキストベースの情報発信を無料かつ容易に始められるプラットフォームnoteや、企業の情報発信ベースとして利用しやすいWantedlyなどは、人気を集めているサービスの一例です。
しかし、こうしたプラットフォームを利用し始めたはいいものの、コンテンツを継続的に発信し続けることに苦戦している企業も多いようです。また、仮にコンテンツを更新し続けられても、なかなか理想の候補者に届かないという課題を抱えている企業も珍しくありません。
これらの課題解決には、コンテンツ制作を専門とするプロのノウハウも必要です。社員や候補者と向き合うプロたる人事担当者にそのすべてを任せるのは、実は無理のある話なのです。コンテンツ制作にリソースを割き続けることを強いれば、ゆくゆくは人事担当者の業務過多をもたらしかねません。
したがって、採用目的の定期的なコンテンツ制作に関してはコンテンツ制作のプロに委託するという判断は、妥当なものだと考えられます。本記事では、実際に採用向けコンテンツを外部委託する際のメリットと注意点について解説します。
採用コンテンツを外部委託するメリット
まず、採用コンテンツを外部委託するメリットから解説します。
メリット1. 客観的な視点から自社の魅力を発信できる
外部委託する最大のメリットは、主観ではなく客観でコンテンツを制作できることです。社内の視点では描けなかった魅力や、外部の人間だからこそわかる候補者視点に立った発見は、どんな企業でも存在するものです。また、他者の目を介して描く企業コンテンツにはリアリティが生まれます。透明性の高いコンテンツ制作をしたいのならば、ぜひ外部のプロに頼ってほしいです。
メリット2. 人事担当者のリソースが空き、施策の選択肢も増える
次にメリットとして挙げられるのが、社内人事担当者のリソース確保です。人事担当者が継続的なコンテンツ制作を任せられると、内容の掘り下げがおろそかになってしまい、結局コンバージョンの低いコンテンツになってしまうことがよくあります。また、採用ピークにコンテンツ制作が停滞してしまうなど、スケジュール的な課題が出てくるはずです。
外部委託先に採用コンテンツを任せられれば、人事担当者の繁忙期を問わず、継続的なコンテンツ発信が可能です。また、社員インタビューシリーズやイベントレポートなど、人的リソースが必要な施策も挑戦しやすくなります。
メリット3. 採用コンテンツ制作に社員を巻き込みやすくなる
よく人事担当者の方から「採用に対して意欲的に協力してくれる社員が少ない」という悩みを聞くことがあります。例えば、社員インタビューコンテンツを作りたいとしても、その社員にとって採用コンテンツへの協力は主業務に比べて優先度が低いため、なかなか予定が調整できない、ということもあるそうです。
こういう場合、外部委託先のメンバーが調整業務を担うことで、予算をかけて情報を発信しようとしている本気度を端的に伝えることができます。外部を巻き込んでいることが、社員の重い腰を動かす要因になるかもしれません。実際、今まで進まなかったコンテンツ制作が外部委託をきっかけに実現したケースはいくつも見たことがあります。
採用コンテンツを外部委託する際の注意点
一方で、企業の柱を担う採用領域の発信コンテンツを外部委託するのは、大きな決断とも言えます。候補者に届くコンテンツを作り上げていくためには、企業側がいくつか注意しておきたいこともあります。
注意点1. 委託先の得意分野や領域を見極める
まず、コンテンツ制作と一言で言っても、プロにはそれぞれが得意とする領域があります。採用コンテンツであれば、動画、テキスト、音声といった手法の選択肢があり、さらに社員インタビュー、対談、その他の企画コンテンツといった内容の違いも生じます。
委託先として検討している企業(またはフリーランス)の実績をチェックし、自社が発信したい方向性と合致しているか相談前に判断しましょう。また、パートナー企業からの紹介などを通じ、たしかな信頼を得ている企業(またはフリーランス)を見つけるのもひとつの手段です。
注意点2. 自社の理念や事業内容などの説明を怠らない
コンテンツ制作のプロがその力を発揮するためには、社内メンバーと同じくらい企業理解を深める必要があります。候補者が知りたい情報が何かを判断する足がかりとして、委託先にはありとあらゆる情報をシェアするほうが効果的です。
もちろん情報収集はコンテンツ制作側のリサーチ力が試されるところでもありますが、発注側が協力することで、よりスムーズかく的確な理解を促すことができます。より良いコンテンツを作るための準備として、情報共有の徹底を意識してください。
注意点3. 自社都合を委託先に押しつけない
例えば、土日祝日の稼働を前提としたスケジューリングや、自社都合による急な発注キャンセルなどは、委託先に対して負担を強います。いかなるコンテンツ制作のプロであっても、緊急対応や発注内容の変更にいつでも柔軟な対応ができるとは限りません。また、互いの信頼構築がコンテンツの精度にも関わってきますから、双方ストレスのない環境で働けるような配慮が必要です。
適切な委託先を見極め、強い採用コンテンツを発信しよう
自社の魅力を客観的かつ継続的に伝え続けるためには、適切なコンテンツ制作のプロを見極め、外注するのが効果的です。互いにストレスなく働ける環境構築を目指しつつ、社内全体を巻き込んだ採用コンテンツ制作を目指しましょう。