小説/漫画 茶のお供

スイーツ(苦笑)な時間、私を満たすショコラな一杯

投稿日:2019年5月18日 更新日:

ストイックにショコラの香りを楽しむ紅茶はいかが

「ショコラ」って響きの恋愛力の高さったら、もうない。食べ物カテゴリの中ではトップスリーに入るのではないか。ほろ苦い片思い、あるいは甘い香りのする二人、とろけるほどの視線。断片的な恋愛の粒を詰め合わせたような言葉だと思う。加えてバレンタインなんかもあるから、ことさら実体験まで重なってしまう。チョコを食べた夜は元カレの名前をSNSで検索する確率が多くなる(※当社比)。カカオ120%くらいの苦い気持ちになる。

ショコラの香りを凝縮したLUPICIA テ・オ・ショコラ

LUPICIAが発売している「テ・オ・ショコラ」は、そんなショコラの香りを贅沢に紅茶に閉じ込めた。糖分は入っておらず、カカオニブとココアパウダーの苦みが紅茶のさわやかさに安定感をもたらす、なかなかストイックな味わいだ。おすすめの飲み方はミルクティー。ミルクのまろやかさにショコラの香りが溶けると、豊かな『飲むスイーツ(苦)』になる。

そういえば“スイーツ(笑)”って言葉、最近めっきり見なくなったなあ。甘いものをスイーツって呼ぶだけで人の種別を関連付けてカテゴライズする感覚、ある意味すごいなあと思った記憶があるが……。

「テ・オ・ショコラを自分へのご褒美に淹れている自分も“スイーツ(笑)”だろうか」と、香り以外は硬派な紅茶を口に含みつつ考える。味わいを正しく表現するならば、スイーツ(苦)(笑)のほうが適切だと思う。表記上スマートにするならば、スイーツ(苦笑)。自分へのご褒美感が激減してしまった。

私の中のスイーツ(笑)は、あの女性

自分へのご褒美を甘さに求める女性の趣味は千差万別だし、得も言われぬ性質を分類されたうえに外野から揶揄されるのは、自分ならちょっと気が滅入る。だから“スイーツ(笑)”という言葉は正直好きではないが、私の中で連想する女性がひとりいる。

漫画「失恋ショコラティエ」に登場するサエコさんだ。

失恋ショコラティエのサエコさんがほろ苦い理由

 

水城せとな先生の「失恋ショコラティエ」は、恋愛には全く興味を持たない友人Tから勧められたから読んだ。私も少女漫画というカテゴリには明るくない。Tが勧める本でなければ、表紙に描かれた主人公のイケメンっぷりに気圧されて遠慮していた一冊だ。

チョコレート王子が愛した妖精、サエコさん

「失恋ショコラティエ」の主人公は“チョコレート王子”と謳われるショコラティエの男性、ソータだ。私が先ほど名を挙げたサエコさんは、彼にとって永遠のマドンナである。

サエコさんはショコラが大好きだ。新しいショコラ専門店をいつもチェックしているし、ノベルティや限定メニューにも喜んで食いつく。ふんわりとした言動や愛らしいしぐさから、ソータはサエコさんを『妖精さん』と呼び、彼女を想って新しいショコラを作り続ける。

ちなみに、サエコはソータからの熱い想いを完全にスルーし、高年収の男とスルッと結婚する。お金に困らない専業主婦という、それこそ妖精ほどに現実味のないポジションを確保し、旦那のいない昼間にショコラを求めてお出かけするのだ。

サエコさんは男性ウケがいいし、男性ウケする自覚がある。そんな彼女を嫌う女性も当然いるし、そのしたたかさを理解して距離を置く男性もいる。作中でサエコさんは、だいたい一人で行動している。でも彼女はそれを気にしていないし、ショコラのトレンドを追いかけ、心底楽しんでいる。

プレミアムスイーツ(笑)の憂鬱

彼女は、おそらく世間が“スイーツ(笑)”と言っていたタイプの女性だと思う。しかも、熟練度も完成度も高い、“プレミアムスイーツ(笑)”なのではないだろうか。

そんなサエコさんが、ソータの店で働く堅実な女性スタッフ、薫子(かおるこ)に対して羨望のまなざしを向けるシーンがある。自分の好きなことを仕事にし、没頭する彼女の姿を評価するのだ。男性に全くモテず、自己肯定感の低い薫子はサエコの評価に嫌味を感じるのだが、サエコも同じように苦しいのだと思う。

だだっ広いリビングで一人、美しいショコラを一つひとつかみしめるサエコさん。夢を見ていたい。夢を見ていなければ、飽き飽きしてしまう人生なのだから。彼女は彼女なりの処世術を駆使して生きてきたし、自分の強みを生かしてきた。けれど、何かが足りない。彼女自身があきらめてしまった穴を埋める唯一の手段が、ショコラなのだろう。

パフェでもクッキーでもなくショコラを選んだサエコさんが、私は好きだ。

「失恋ショコラティエ」を読んでから、ショーウインドーに並ぶジュエリーのようなショコラを見ると、必ずサエコさんを思い出す。潤うめどのない渇きをいやすため、一粒の美しい甘さを消費の砂漠で探す気持ちは、そんなに甘いものではないのよ。

テ・オ・ショコラ×「失恋ショコラティエ」で、甘くないご褒美を

テ・オ・ショコラを飲みながら「失恋ショコラティエ」を読めば、五感がほろ苦さでいっぱいになる。香りではこんなに甘い連想ができるのに、求めるハッピーエンドはどうやらまだ先みたいだ。それはそれでいい。スイーツ(苦笑)なひとときを楽しもう。

今回のお茶とお供はこちら

失恋ショコラティエ

失恋ショコラティエ

愛するサエコの大好物であるショコラを作るため、ショコラティエにまでなる爽太(ソータ)のお話。恋愛のもどかしさをぎゅっと詰め込み、それがショコラのほろ苦さで包まれる名作。

テ・オ・ショコラ

LUPICIA テ・オ・ショコラ

ビターチョコレートをイメージし、カカオニブとココアパウダーをブレンドした【テ・オ・ショコラ】。深いカカオの香りには、チョコレート好きも納得。ストレートで大人の味わいを楽しんでも、ミルクを加えたり、リキュールを垂らしたりしても美味です。「チョコレートらしさ」を出した本格派の風味は、男性にもおすすめ。(公式ページより引用)

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