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「カメラを止めるな!」を観たライターが全力でカメ止めの感想を書いて伝えたい「カメ止めを観てくれ!」

投稿日:2018年8月1日 更新日:

結論から先に伝えたい。どうしても、観ていない人に観てほしい映画がある。「カメラを止めるな!」という映画だ。いや、観た人ももう1度行こう(きっと観た人なら頷くはず、このメッセージ)。

その理由をどうやって伝えようか考えたが、まずは私が初回の観劇をしたときのレポートをお伝えしたい。校正の目を通さないナマの文章で。それこそ「筆は止めるな!」だ。

※ネタバレが入るところからは「以降ネタバレあり」と書くのでご安心ください。

7月26日、18:00上映の「カメラを止めるな!」を体感

「カメラを止めるな!」の存在を知ったのは感想ツイートがきっかけだ。

田口尚平(テレビ東京アナウンサー) on Twitter

鑑賞前「みんな面白いって言うけど実際どうなんやろ」 鑑賞後「早くみんなに面白いって言わなければ!!!!!!!!」 観客ってあんなに一体になって笑うんだなあ.... Tシャツ欲しいなあ........最高...... #カメラを止めるな

こういう生々しい「面白さ」を伝えた感想はTwitterならではの宣伝になるわけで、読んだ方としては興味をそそられる。SNSを調べてみれば、賞賛の嵐。売りたい欲にまみれた一方的な広告に飽き飽きしている中、観客が観た瞬間の感動で心動かされて意欲がそそられること自体が久々だった。

これは絶対観るべきだ」という焦燥感と期待を胸に7月26日、池袋シネマ・ロサへ。ちなみにシネマ・ロサは当日チケットを現地のみで販売する。前評判が良すぎることに不安を覚えて正午に行くと、すでに長蛇の列だった。みんな観たい、みんな準備して来る。こういう高揚感を映画で感じられることで、普段孤独にPCと向き合っているライターとしては“一体感”欲が満たされる。

「カメラを止めるな!」観賞中のナマレポート

上映開始から約30分は、あえて正直に言おう。「ああ、なんだ」と思った。期待しすぎたなって。「ちょっと待てよ、まあまあって感じじゃん」なんておこがましい焦りすらあった。

だがしかし。良かった、終わらなかった。というか、むしろそこから始まった。「カメラを止めるな!」。そのタイトルの意味を本当の本当に知るのは後半なのだ。

それなりに今まで映画館に足を運んできた経験があると思っているが、これだけ会場が一体になって笑う映画って今まで本当に経験がなかった。何これ。誰も置いていかないし、誰も飽きさせない。1秒たりとも見逃せない。「カメラを止めるな!」のタイトルが持つスピード感が、終わりまで続く。

そして、エンドクレジットが流れている時、泣いてしまった。「全米が泣いた」的なチープなことを伝えたいのではなくて。もう少し詳しく描写すると、笑いすぎて涙がにじんでいたところに、全てを演じきった役者やこの映画を作ったスタッフの皆々様に対する“愛しさ”が溢れたんです。すごくないですか。愛しさで泣くって。感動させたい演出にハマって泣いたんじゃないんですよ……「ありがとう、この映画を作ってくれて」みたいな涙。あの体験、感情をくれるだけで「まじでこの映画は観たほうがいい」という根拠になる。

会場に来てくれた役者の皆様

そして終わった時。なんと……出演している役者の皆様(写真右から濱津隆之さん、山口友和さん、浅森咲希奈さん、藤村拓矢さん)と、主題歌を歌う山本真由美さんが会場にサプライズで駆けつけてくださいました。先に述べたような感動のあとに、ご本人方の登場ですよ。高校生の頃にあこがれていたヴィジュアル系のバンドとライブで会った時以来の号泣スクリームが出ました。

ENBUゼミナールシネマプロジェクトから生まれたという本作。予算が少なく、広報も足と時間を使い、感謝を伝える手法がほとんどだったそうだ。ここまで多くの人に広がったのは、もちろん作品の魅力もあるが、こうして関係者の皆様が映画ファンを大切にしていることも理由のひとつだろう。

上田慎一郎 on Twitter

「カメラを止めるな!」は新人無名の監督と俳優で低予算「でも」できた映画じゃなくて、新人無名の監督と俳優「だから」できた映画だよ! #カメ止め

監督である上田慎一郎さんのツイートにもあるように、限定された条件の中で、それこそ情熱が突き動かす形で作られたであろう「カメラを止めるな!」。上映中も終始感じていた「映画大好きだ!!」というこれでもかというほどの愛情が、目の前に現れた役者の皆様からも感じられた。

トークセッション終了後、一人ひとりにサインや握手、撮影をしてくださった皆様。藤村拓矢さんが「(このヒットに対して)まだ実感がわかない、広めてくださっている皆さんのおかげですね」と率直なコメントをくださったのが印象的だった。

そう、現在進行形なんだ。握手させていただいて、その温度をしっかりと感じて思った。だから、私は私なりの言葉で「カメラを止めるな!」を観てほしい、本当に、本当に観てほしいと伝えようと思って、これを書いている。私がこれを書いたことで、誰か一人でも多くの人が映画館に足を運んで、ゲラッゲラ笑って、ちょっと幸せになってくれたらいいなと思うし、「カメラを止めるな!」を作ったスタッフの方々の愛が感染していけばいいと思う。

一切あらすじに触れない感想をここまで読んでくださってありがとうございます。何故ここまで全くあらすじに触れなかったかというと、まだ観ていない人には絶対に、絶対にあらすじを伝えたくないからです。まずは観てください。話はそれから。簡単なあらすじは大手メディアが書いてくださっている記事や映画上映館の説明をご覧ください。

カメラを止めるな! | ケイズシネマ

とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に本物のゾンビが襲いかかる!大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイブムービー!......を撮ったヤツらの話。

そして、私が観た時から更に感染が広がり、現在は上映館がこんなに増えたんですね。

映画『カメラを止めるな!』公式サイト

映画『カメラを止めるな!』の公式サイトです。ENBUゼミナールのシネマプロジェクト第7弾作品。短編映画で各地の映画祭を騒がせた上田慎一郎監督待望の長編は、オーディションで選ばれた無名の俳優達と共に創られた渾身の一作。 脚本は、数か月に渡るリハーサルを経て、俳優たちに当て書きで執筆。他に類を見ない構造と緻密な脚本、37分に渡るワンカット・ゾンビサバイバルをはじめ、挑戦に満ちた野心作となっている。

これで「いやあ、観に行けないわ」もないはず。さあ、行こう。


―以降ネタバレをやや含む内容/あらすじに触れる感想になります。観た人のみどうぞ。―

 

 

 

「カメラを止めるな!」が本当にすごいと思う理由

さて、私も私で「カメラを止めるな!」をまだ観ていない人に、あらすじを伝えずいかに魅力を伝えるか試行錯誤してここまで書いてきた。それこそ、書く仕事のサブミッションというか、「これが面白いんです」を別の言葉で伝えるクエストというか。今回、ただただ「みんな観て!」っていう目的が明確だったから、よけいに難しかった。たかがブログかもしれないしどのくらい届くかわからないけれど、熱は込めた。

さて、ここからは観た人と共有したい、「カメ止めのこういうところが好き、すごいよね」話。

①伏線だけでなく登場人物の“個性”を回収していく

「カメラを止めるな!」が取っている「冒頭なんらかの提示」からの「後半ネタばらし」的な流れは、決してそこまで新しいわけでもないと思う。ただ、「カメラを止めるな!」がすごいなと思ったのは、そこで回収していくのがストーリーの伏線だけではなく、登場人物のキャラクターも含めたものだったということ。

何故、そういう行動に至るか。どうしてそう考えるのか。ここら辺を野暮な説明なく伝えるのって、小説でも映画でも本当に大変だと思う。一つひとつの作品の前後や裏には私たちが知らないエピソードが本当はたくさんあるはずで、奥行きがあるべきなのだけれど、結構平面になりがち

「カメラを止めるな!」の場合、最初、平面を見せている。奥行きを一層楽しむための平面。それで、後半全てのキャラクターに対する最小限の情報量かつ最大の効果を発揮するエピソードをちりばめているから、まあもう本当に。トリックアートのような作品です。「その奥行き……み、見えてなかったわ……!」というような。

②「作り手の努力」は全観客が感動できるポイントだと教えてくれた

「カメラを止めるな!」の感想で結構目にするのが「映像の作り手に対する愛が半端ない」という点なのですが、これは単純に“映像の作り手”に限定した話ではないと思う。少なくとも、私は観たとき自分が働いているフィールドで感じる“すったもんだ”を無意識に重ねて、共感したり、スカッとしたり、憤ったり笑ったりしていた。

何やってたって、本当によくある話だよね。お金・判断する権力を持っている人たちはどうあがいたって作り手の泥臭い努力の全てを知ることはないわけだし(もちろん知っている人だっているだろうけれど、逆に同じ視点に立っていたら自分のロールが全うできないだろう)。

本当はこだわりたいのに捨てなければいけないプライド妥協や悔しさ、そうして大切なものを失ったような感覚、それでもカッコいい姿は見せたい、自分は捨てたくないっていう意地。もう、ああいうのが全部、人間の魅力そのものだと思うし、最高に抱きしめたくなる愛しさの元なんだ。

そして、他人ごとではない。あの映画に描かれていた「カメラを止めるな!」という叫びは、もう、働いている全員の意地を代弁してくれていたんだよね。

私も止めない人間でいたいなって思わせるんだ。それで、最後「カッコいいよ」って微笑みかけてくれているようなあの、あの表情に涙するの。ああ。本当最高。

③たった96分にあらゆる感動を詰め込んでいる

観た皆様に問いたいんですけれど、これって何映画だと思いますか?「ゾンビ映画」ではないはずですよね。間違いなく。コメディか?うん、大笑い度で言ったら人生トップクラスなのでそうかもしれないけれど、笑わせるために作ったという気もしない。「働いている人大変だわ」的な切り口で人間ドラマと言えばそれもそうだけれど、家族にも焦点が当たっているし、トリック的な要素を楽しむこともできるし。

本作が焦点を当てているテーマが「キレッキレの斬新な何かである」っていう気はしないんだけれど、多くの人が共感する日常にある疑問や笑えるポイントをギューッと詰め込んで密度を濃くして、エンターテイメントとしてしっかり落とし込んでくれているところが、本当にすごい。だからもう、詰め込みすぎてジャンルがよくわかんない。それで96分なんですよ。さらに、普通だったら詰め込み過ぎてパンクして破綻しそうなところを、もう、これ以上に美しいパズルはなかったと言いたいほどカッチリとはめ込んでいます。多分96分っていう尺は予算のアレもあるかもしれないけれど、だからこそいいんだよ。間延びすることも足りないこともない、本当にジャストでベストな作品。

「カメラを止めるな!」で幸せが感染する

二度観たくなる映画だということについて唯一無二とは言いませんが、二度観に行ったら同じく観に来ている人に親近感がわきそうな映画は唯一無二な気がするな。この幸せにどっぷりと浸れる人には、深い部分で共感できるものがあると信じている。

ほとんど口コミだけで観客動員を増やし続けている「カメラを止めるな!」について、「感染拡大中」というゾンビ映画ならおなじみの煽り文句がついていたけれど、本当に感染しているのが「面白い」という感想だけでなく、「観たあとの幸せ」もセットなのだということを知っているのは、観た人だけだよね。ウフフ。

そして会場に山本さんが来てくださっていたから知ったことですが、主題歌はSpotifyApple Musicで楽しめます。調べてみたらAmazon Musicにもありました。なかなか忙しくて映画館に向かえないカメ止め中毒な皆様は、お手元のスマートフォンで主題歌を聴きつつ、あのエンドロールを思い浮べて仕事に励みましょう。Keep Rolling!!!

Keep Rolling (映画『カメラを止めるな!』主題歌)

Keep Rolling (映画『カメラを止めるな!』主題歌), an album by 謙遜ラヴァーズ on Spotify

さあ、久々に4000文字クラスのブログを書きました。文字数が全てではないですが、想いをグワーッと書き連ねるのは久々で楽しかった。ここまで読んでいる人はきっと一度は「カメラを止めるな!」を観た人だろうから、締めはこれですね。

 

もう1回観ようぜ!!

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